前立腺がんのその他の治療
監視療法
前立腺がんには、早期に見つかり症状のないまま経過し最終的に死亡の原因とならない、「おとなしいがん」が存在することが明らかになっています。
そのため、あえて治療は行わずに経過を観察していくのが監視療法です。経過観察中は、定期的にPSA検査と前立腺生検を実施し、病状の悪化が見られた場合は根治に向けて治療を開始します。監視療法は、過剰な治療を行わずに済むことで、治療に伴う様々な合併症やQOL(生活の質)の低下を避けることができます。
ただし、がんと分かったにもかかわらず治療をしないことが精神的負担になることもあるため、心のケアや希望に応じて根治に向けた治療が必要となる場合もあります。
監視療法は主に、以下のような人が適しています。
- 病期:T2 以下
- グリソンスコア:3+4 以下
- 前立腺生検にて採取した組織の中で陽性が2本以下
- PSA:10ng/ml 以下
- PSAD:0.2ng/ml/cm3 未満

フォーカルセラピー
前立腺の全体を治療するのではなく、可能な限り正常組織を残し、前立腺の中でがんの ありそうな部分だけを治療するもので、治療と機能温存を両立させることを目的として います。代表的な治療方法は、HIFU(高密度焦点超音波)です。肛門から超音波を発する プローブを入れ、超音波によって高温にすることでがんを死滅させます。その他、LDRにて 前立腺の一部に線源を入れる方法や、凍結療法などがあります。いずれにしても、精度の 高い検査が必要で前立腺内のがんがどこにあるのかをしっかり特定することが重要です。
内分泌療法(ホルモン療法)
前立腺がんは、アンドロゲン(男性ホルモン)により進行する性質があります。薬物でアンドロゲンの作用を抑制することが前立腺がんには有効と考えられています。ただし、内分泌療法は根治を目指す治療ではありません。根治を目指す場合は手術や放射線治療を行う必要があります。放射線治療とホルモン療法を組み合わせることで、より放射線治療の効果が高まります。男性ホルモンを抑制するため、性機能障害、循環器疾患、筋力低下、骨粗しょう症などの合併症を生じる場合があります。
